目覚め

朝早く
   軽やかな足取りで散策していた


空を見上げれば
コマドリの卵のような青色だった


日差しはやさしく
半透明の身体を満たしていた


長いバラが一本、
         過ぎ去ったそよ風を
追うかのように
  そのしなやかな首を
       前方に傾げていた。


         僕が振り返って、
挨拶をした


渦巻く花びらの中から
  星のようにきらめく
       朝露の雫が
眠気のとれないバラの顔を
きれいに飾っていた


震えるその顔を
     手のひらで
     そっと包み込み
僕の顔に近づけた


「おはよう」と トキ色の唇が言った


   昔聞いた
   シャンソンの音色のような
  香りが
僕の鼻をくすぐった


「おはよう」と 僕が
   微笑みながら答えた


そして
一層深くなった
明日の空に向かって
       歩みはじめた