もう一つの日記

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目覚め

朝早く 軽やかな足取りで散策していた 空を見上げれば コマドリの卵のような青色だった 日差しはやさしく 半透明の身体を満たしていた 長いバラが一本、 過ぎ去ったそよ風を 追うかのように そのしなやかな首を 前方に傾げていた。 僕が振り返って、 挨拶を…

昔の写真

7才の頃だったでしょうか。 1978年フランスのノルマンディー地方の代表的な港町、 Honfleur(ホンフルール)にある、サント・カトリーヌ波止場 quai Sainte Catherineで撮られたこの一枚が、 一昨日僕の前に現れた。 今は何年ぶりに生まれ育ったワシントンの…

Obaachan’s funeral

9月11日に、妻の祖母が亡くなりました。哀悼の意を込めて、この日記を書きました。Y's grandmother passed away Saturday morning at 4am, on the inauspicious date of September 11, 2004. The hospital called Y’s father at 2am to tell him her fina…

「もう一分」の抱擁

「もう一分」抱きしめた 温もりの囁き、 シャンプーの匂い、 「お早う」の陽射し、 「お帰り」のえくぼ、 「お休み」の耳たぶ 「もう一分」かみしめた ミント味の希望、 ブルーベリー味の安らぎ もう一分君を抱きしめた時は、 三つの鼓動を聞き入っていた...

紺色の緊張感

警棒を持った警官が十人ぐらい、 隣のパチンコ屋の前に立って 目をきょろきょろさせていた。 パトカーが8台ぐらい止まっていて、 中にも警官が待機していたらしい。 「パチンコ屋の中で何があったんだろう?」 「なぜ警官が道路の方を見ているんだろう?」 …

合格!

一つ雲もない青空を飲みながら、 街を闊歩し、思わず口笛をした! 公園でベンチに座り、 八分咲きの八重桜の微かな薫りを楽しんだ! コットンの糸をひきながら空を渡る飛行機、 白いベビーカーで無邪気に手を叩く赤ん坊、 小池をなぞってさざなみを残すそよ…

非業の最期

擂りたての山葵が静かに滴り落ちた。 ぴくぴくと身を震わせる白身魚が、 寝る時でさえ閉じることのできないその義眼のような目で、 醤油の表面に映る自分の姿を諦観していた。 敏捷な包丁捌きで細工された白身色の起伏が、 幾何学的な模様を描いていた。 魚…